システム基盤とは?
重要性、構築のステップ、ポイントも解説

近年、クラウド技術の発展やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、これまで以上に柔軟で効率的なシステム基盤(“IT基盤”と呼称される場合もあります)の構築が求められています。
しかし、「そもそもシステム基盤とは何か?」「基幹システムとの違いは?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、システム基盤の基本概念や役割、構築のステップ、運用のポイントについて解説します。
- 目次
システム基盤とは?
システム基盤とは、企業のIT環境を支える基盤となる技術の集合体です。
業務システムやアプリケーションがスムーズに稼働するための土台となり、企業の生産性や競争力を左右する重要な要素です。
最初に、システム基盤の基本概念について解説します。
システム基盤とは
システム基盤とは、企業のITシステム全体を支える土台となるもので、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークを含むITインフラの総称です。
具体例として、以下が挙げられます。
• サーバー
• オペレーティングシステム(OS)
• データベース管理システム(DBMS)
• ネットワーク(LAN、WAN、VPN)
• ストレージ
システム基盤と基幹システムの違い
「システム基盤」と「基幹システム」は言葉こそ似ていますが、意味は異なります。
まず、システム基盤は業務システムやアプリケーションを動かすための技術的な土台を指します。サーバーやデータベース、ネットワークといった要素が挙げられます。また、システム基盤の上位概念として、IT基盤があります。IT基盤はシステム基盤に加え、企業活動をITで支えるための運用管理体制やセキュリティポリシーなどの要素を含みます。
一方、基幹システムはシステム基盤の上で稼働するアプリケーションそのものを指します。例えば、販売管理や会計、人事、物流などの業務システムが該当します。
つまり、基幹システムはアプリケーションであり、システム基盤はそのアプリケーションを動かすための土台という位置付けになります。
システム基盤の重要性
システム基盤を適切に設計・運用することで、業務の安定性と効率性を高め、企業の競争力を強化することができます。
以下では、システム基盤が果たす具体的な役割と目的について解説します。
業務の標準化
認証や監視、セキュリティポリシーなどを共通の仕組みやルールで一本化することで例外的なフローを減らし、誰でも同じ手順で作業を進められる環境を整えることができるため、業務の標準化につながります。特定の担当者に依存せず、安定した業務運営が可能になるため、属人化の防止にもつながるでしょう。
業務の効率化
ストレージやデータベースを共通化することで、データの保存先を統一化することができます。また、データを連携するためのミドルウェアも共通化して提供することで、個別にバッチをつくることも不要になります。これらのように共通化が進むことで、データの一元管理が可能になります。これによって、各部門や各システムから同じデータを同じ形式で参照できるようになるため、業務のスピードと正確性が向上します。
業務システムの安定稼働
地震や台風などの自然災害が発生すると、業務システムが停止したり、処理の遅延が発生したりするリスクがあります。しかし、システム基盤にバックアップ機能やリカバリー対策を備えておけば、迅速に復旧することが可能です。
さらに、クラウド環境や分散データ管理を活用することで、システムの一部が影響を受けても他の拠点やクラウド上のデータを活用し、業務を継続できます。これにより、万が一のトラブルが発生しても、業務への影響を最小限に抑えることが可能です。
セキュリティ対策の強化
近年、サイバー攻撃の手法がますます巧妙化し、情報漏洩のリスクも高まっています。そのため、企業のシステム基盤には、より強固なセキュリティ対策が不可欠です。
例えば、不正アクセスを防ぐために、生体認証やワンタイムパスワードなどの高度な認証システムを導入すれば、従来のID・パスワードだけでは防ぎきれないリスクを大幅に軽減できます。
さらに、侵入防御システム(IPS)や侵入検知システム(IDS)を採用することで、不審なアクセスを迅速に把握することが可能です。
変化に対応できる柔軟性
変化のスピードが速い現代において、迅速かつ効率的にシステムを構築・運用できる仕組みが求められています。
近年、その解決策として「aPaaS(Application Platform as a Service)」が注目されています。
aPaaSとは、アプリケーションの設計・開発・管理を効率化するためのクラウドサービスです。
必要な機能を組み合わせることで、自社の業務に最適なアプリを短期間で開発することが可能になります。
新しいシステムの導入や業務の変化にスムーズに対応するためにも、柔軟で拡張性の高いシステム基盤を検討してみてはいかがでしょうか。
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システム基盤構築のステップ
システム基盤を構築するには、段階を踏んで慎重に進めることが重要です。以下では、基本的な流れと押さえておくべきポイントについて解説します。
計画(要件定義)
まず、誰が使用するのか、どのような情報を扱うのか、どのような機能が必要なのかを具体的に整理します。例えば、業務部門の担当者が日々どのような作業を行い、システムに何を求めているのかを正確に把握することが重要です。
要件定義に不備があると、後になって「必要な機能が足りない」「設計が業務に合わない」といった問題が発生し、修正に大幅な時間とコストがかかる可能性があります。
そのため、IT部門だけでなく、システムを利用する各部門と綿密に連携しながら要件を詰めていきましょう。
設計
要件定義をもとに、システム基盤の詳細な設計を行います。具体的には、サーバーやストレージの配置、ネットワーク機器の選定、セキュリティ設定などを検討し、設計書にまとめます。
この段階で、障害が発生した際の復旧手順(リカバリー方法)も明確にしておくことが重要です。
構築
ハードウェアやソフトウェアの調達・設定を行い、システムが正常に稼働する環境を整えます。
具体的には、サーバーやストレージの設置、ネットワークの構築、OSのインストール、ミドルウェアやアプリケーションの導入などを順番に進めていきます。
テスト
システムの各構成要素が正しく機能し、問題なく連携できるかを検証するフェーズです。
まず、個々の機器やソフトウェアが正常に動作するかを確認する「単体テスト」を実施します。
その後、サーバー・ネットワーク・ストレージなどを連携させて(結合テスト)、実際の運用環境を想定した「システムテスト」を行いましょう。
分割して進めることで、どの工程で問題が発生しているのかを特定しやすくなり、修正が容易になります。
運用・改善
本番運用を開始すると、想定していなかったトラブルが発生することも少なくありません。そのため、一度に刷新するのではなく、段階的に導入することが推奨されています。
また、システム基盤は一度構築すれば終わりではなく、継続的な運用改善が不可欠です。パフォーマンス分析を定期的に実施し、より効率的で安定した環境を目指しましょう。
システム基盤構築と運用のポイント
システム基盤の構築と運用を成功させるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。トラブルを未然に防ぎ、効率的な運用を実現するために、特に重要なポイントを解説します。
運用範囲の拡大に備える
近年、リモートワークの普及により、オフィス外からでも業務を円滑に進められるシステム基盤が求められています。
パソコンだけでなく、スマホやタブレットからもアクセスできる環境を整備しましょう。特にクラウドベースのシステムを活用すれば、時間や場所に縛られることなくデータ入力や確認が可能になります。
障害時の対応をマニュアルにまとめる
トラブル対応の手順をマニュアル化しておき、障害が発生した際でもスムーズに対処できるようにしましょう。
障害発生時の連絡フローや復旧までのタイムライン、エスカレーション手順も記載しておくことで、混乱を防ぐことができます。
サーバーの負荷を分散する
サーバーに過剰な負荷がかかると、システムの動作が遅くなったり、サーバーダウンを引き起こしたり、業務全体の効率が大幅に低下してしまいます。特に、Webサイトやオンラインサービスの場合、想定以上のアクセスが集中すると、システムが停止してしまう可能性があります。
こうしたリスクを防ぐためには、ロードバランサー(負荷分散装置)がおすすめです。自動的に負荷を分配するため、特定のサーバーに集中するのを防ぐことができます。
保守管理・監視運用を徹底する
システムを安定して運用するためには、ネットワークやシステムの状態を常に監視する必要があります。
特に、24時間365日稼動が求められる業界では、監視システムや外部運用サービスの活用が有効です。
例えば、サーバーの稼働状況をリアルタイムで把握できるシステムを導入すれば、トラブル発生時に即座に対応できるようになります。
まとめ
システム基盤を整えることで、業務の効率化や安定した稼働を実現し、競争力の強化につながります。
しかし従来のシステム基盤の開発は、「開発コストの増加」「システムの複雑化」「運用負担の増大」などの課題があります。その解決策として注目されているのが、aPaaS(ApplicationPlatformasaService)です。
aPaaSとはアプリケーションの設計・開発・実行環境をまとめて提供するクラウドサービスで、システム基盤の整備をより効率的に進めることができます。
当社が提供するLaKeel DXは、システムを構成する機能を部品(コンポーネント)として提供しており、必要な機能を組み合わせて構築していきます。
この仕組みにより、開発期間の短縮、運用負担の軽減、拡張性の確保といった多くのメリットが得られます。
LaKeel DXを活用することで、迅速なアプリケーション開発とスムーズな運用が可能になります。
より柔軟で効率的なシステム基盤を実現するために、LaKeel DXを検討してみてはいかがでしょうか。
コンポーネント型aPaaS「LaKeel DX」

このコラムを書いたライター

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