【AI分析活用事例をご紹介】業務効率化だけではない!AI分析がビジネスにもたらす可能性
日々大量のデータが生まれている現在、AIによってデータを有効活用するAI分析が注目されています。業務効率化や人手不足解消などに利用されるAI分析ですが、新たな価値やビジネスの創出に役立つ点も大きな魅力です。本記事では、AI分析で実現できることや活用事例、AI分析導入のプロセスや課題をご紹介します。
- 目次
- お役立ち資料
- ビッグデータ×AI分析のユースケース
AI分析とは?
AI分析とは、AI(人工知能)を活用したデータ分析のことであり、さまざまなデータ分析手法のうちの1つです。膨大なデータをAI技術により高速で処理・分析し、確度の高い分析結果を提示するとともに、データの傾向から人間の能力だけでは読み取りにくい現在および将来の状況判断を行うことができます。
高まるAI・データ分析のニーズ
急速な技術進歩やグローバル化が進む現代は、社会の変化が激しく不確実性が高い「VUCA※1」の時代と言われます。また、近年は「ビッグデータ」と呼ばれる大量のデータが日々生まれています。
※1 :VUCAとは「Volatility」(変動性)、「Uncertainty」(不確実性)、「Complexity」(複雑性)、「Ambiguity」(曖昧性)の頭文字から取られた造語
将来予測の難しい現代において企業が生き残るためには、ビッグデータを適切に収集・処理し、現状判断や将来予測を行ったうえで、具体的なアクションを起こしていく能力が求められます。そのために、具体的なアクションを策定する際の将来予測の段階でAI・データ分析が必要不可欠になっています。
AI分析の活用で期待できること
AI分析はさまざまな活用方法があります。
たとえば製造業では、機器から得られるデータを分析し、故障の予兆や不具合の検知に活用することで、大きなトラブルを防止でき業務の効率化を実現します。また、AIによる判断を取り入れることで人手での確認工数を削減できるといった利点もあります。将来的には、ベテラン従業員の経験や勘に頼っていた業務の平準化に寄与し、属人化からの脱却や、人の主観に頼らない客観的な判断による業務効率化も期待できます。
AI分析を活用することで、商品の需要予測や来場者数の予測などのデータ処理に必要だった人的リソースを削減し、適切な人員配置も行えるようになります。
AI分析は業務効率化や人手不足解消に役立ちますが、それだけではなくデータを有効利用してビジネスに新しい価値を提供し、利益拡大を図れることも大きな利点です。
以降では、AI分析によりビジネスの新しい価値や利益を生み出した事例をご紹介します。
AI分析によるデータ活用事例4選
金融×AI:審査の高度化
1つ目は、金融業界における中小・零細企業向けの与信・融資審査にAI分析を導入した事例です。
具体的には審査エンジンを構築し、代表者や企業の情報、オープンデータなどを組み合わせ、企業を格付けできるようにしました。これにより、今まで判断が難しかった潜在的な「優良層」と「リスク層」を判別し、今後の成長が期待できる企業を見出せるようになりました。
医療×AI:画像解析による診断補助
2つ目は、医療における画像解析にフォーカスし、映像高速処理AIエンジンを導入した事例です。
医師が患者の呼吸維持に使われる気管チューブの位置を適切に把握できるようにするため、高解像度のX線動態データをAIエンジンに転送・解析する支援システムを構築しました。これにより、目視では確認が難しかった各器具の位置が適切かどうかの判断が簡単になりました。さらに、異常がある場合には注意喚起できることを実証しました。
人材×AI:採用・退職予測
3つ目は、人事分野においてハイパフォーマー人材の特性を抽出した事例です。
過去のサーベイ結果と現在の人事評価結果を機械学習アルゴリズムに投入し、ハイパフォーマー人材の特性を学習させたほか、学習済みモデルを用いて将来のハイパフォーマー候補の推論もできるようにしました。これにより、今までは予想が難しかった採用前にその人材がハイパフォーマーとなり得るか、もしくは数年で退職する可能性が高いのかスコアリングできるようになりました。
建設×AI:施工現場の安全性確認
4つ目は、建設業界において工事安全判定モデルを導入した事例です。
建設現場では、工事を行う前に梯子とカラーコーンの位置関係など現場の写真を本社に送り、本社が安全性をチェックしなければなりません。その数は1日数千件にのぼり、万が一チェック漏れがあり事故が発生すると、多額の賠償が発生するリスクがあります。
このチェック業務をAI画像認識によって行うことで、瞬時に物体形状を検出し、安全であるか自動判定できるようになり、業務効率性の向上と事故抑制に寄与しました。
AI分析導入までの基本プロセス
以上のようなさまざまな価値提供を実現できるAI分析ですが、導入する際には以下5つのプロセスを踏む必要があります。
①目標の明確化(ビジネスゴール、分析ゴールの明確化)
②データの準備
③データの前処理
④モデル作成
⑤モデル評価
①目標の明確化(ビジネスゴール、分析ゴールの明確化)のビジネスゴールとは、売上目標やコスト削減などの数値であり、分析ゴールとはAI分析でどの程度ビジネスゴールを達成できたかという結果です。これらを設定することで、AI分析導入によりどの程度成果が得られたか可視化できるようになります。
②データの準備では、データを準備する際に機械学習に適したデータか、信頼性の高い大量のデータが十分かなどを検討することが重要です。自社だけで必要なデータが揃わなければ、外部の研究機関などが公開している統計データを活用する選択肢もあります。
③データの前処理は分析前に行うデータの前処理のプロセスであり、目的変数や説明変数の加工、画像データの解像度の調整、テキストデータの誤字・脱字の修正などを行います。データの粒度を揃える、例外的なものは除外するなどの判断も必要です。
④モデル作成ではAI分析に用いるアルゴリズムを選定します。分析したいデータの数と相性の良いアルゴリズムを選ぶことが重要です。
⑤モデル評価では分析の精度や解釈性(分析結果を人がどの程度理解できるか)、学習処理の時間などを評価します。
AI分析の際には、まず①を設定したうえで、②~⑤のプロセスを繰り返し、改善を重ねていくことが重要です。
AI分析をする際の3つの課題
以上のようなプロセスでAI分析を行いますが、分析の際には以下3つの課題があります。
必要なデータの収集
AI分析では、分析にとって意味のあるデータを大量に収集する必要がありますが、この収集が困難である点が1つ目の課題です。関係の薄いデータをどれだけ多く集めても確度の高い分析は行えないため、既存のデータで分析に適したものがない場合、まずデータ収集から始めなければならず、手間がかかってしまいます。
データサイエンティストの人材不足
AI分析のための専門スキル・知識を持つ人材をデータサイエンティストと呼びますが、現在データサイエンティストの人材不足が深刻化しており、AI分析の需要に供給が間に合っていない状況にあります。特に、ITを専門としない一般の企業でデータサイエンティストを確保するのは非常に難しい状況です。
環境構築
AI分析を行うためには専門人材を確保するだけでなく、大量のデータを蓄積できる大容量のストレージや、大規模なデータ分析が可能な高性能のコンピュータなど、環境の整備も重要です。
分析するデータに個人情報が含まれる場合には、セキュリティ対策も万全にしなければならず、こうした環境構築のために多くの手間やコストがかかります。
このような課題を解決することができ、AI分析やデータ活用に役立つソリューションを以降でご紹介します。
AI分析・データ活用を可能にするデータ分析基盤「LaKeel Data Insight」
AI分析やデータ活用に役立つソリューションとして、「LaKeel Data Insight」があります。
DXを支えるデータ統合基盤であるLaKeel Data Insightは、分析に必要な大量なデータ(源泉データ)や加工データをカタログ化することで誰でも容易にデータへアクセスできます。GUI操作により源泉データを2次加工、3次加工でき、専門知識を必要としないデータ操作とあらかじめ用意されたメニューにより多彩な分析が可能です。こうした機能により、人材不足や環境構築などの課題を解消し、スムーズにAI分析・データ活用ができるようになります。
以下資料では、金融業界におけるAI分析活用例を詳しくご紹介していますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。
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このコラムを書いたライター
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