AIによるソースコード解析・設計書の自動生成|現行解析の進め方

「既存システムの設計書が実態と合っていない」「ソースコードを読める人がいない」——企業の基幹システムや業務システムでは、コードはあるのに仕様が分からない、という状況が珍しくありません。何万行ものソースコードを人手で読み解くのは現実的ではなく、ドキュメント整備は後回しにされ続けます。
この課題を解く手段として注目されているのが、AIによるソースコード解析と設計書の自動生成です。本記事では、企業の既存システム・レガシーシステムを対象に、AIでソースコードを解析して何が分かるのか、設計書をどう自動生成・最新化するのか、進め方とツール選定の観点、精度を高める注意点まで解説します。
- 目次

- お役立ち資料
- 「LaKeel Blu」製品資料
ソースコード解析とは?AIで何が変わるのか
ソースコード解析とは、プログラムのソースコードを読み解き、構造・処理の流れ・依存関係などを明らかにすることです。企業システムの文脈では、設計書が失われた・古くなった既存システムの仕様を、コードという“事実”から復元する目的で行われます。
従来も、コードを実行せずに構造やメトリクスを解析する静的解析ツールや、構造を図示するツールは存在しました。しかし従来型のソースコード解析ツールは、「どこに何があるか」は示せても、「この処理が何をしているのか」という意味までは教えてくれません。結局、出力された図や一覧を人が読み解く必要があり、大規模システムでは挫折しがちでした。
AIの登場で変わったのはここです。AIはコードを構造として解析するだけでなく、変数名や処理の流れから、処理の意味やプログラム上の実装意図を推論し、自然言語で説明します。「この機能はどのデータを更新し、どこから呼ばれているか」「この分岐はどのようなケースを想定した例外処理か」と日本語で問い、コードを根拠にした回答を得られます。人がコードを読み解く作業の多くを、AIが肩代わりできるようになりました。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 観点 | 従来の静的解析ツール | AIによる解析 |
|---|---|---|
| 分かること | 構文・構造・メトリクス | 構造に加え、処理の意味・実装意図 |
| 出力 | 図・一覧(読み解きは人) | 自然言語の説明・設計書ドラフト |
| 使い方 | 結果を人が解釈する | 対話で質問し、回答を得られる |
| 設計書化 | 人が別途作成 | 自動生成・最新化まで支援 |
従来ツールが「読むための材料」を出すのに対し、AIは「読み解いた結果」まで出せます。この差が、レガシーシステムの解析を現実的なものにしました。
AIによるソースコード解析でできること
企業の既存システムを対象にしたとき、AI解析で実務的にできることは大きく4つあります。
構造・依存関係の可視化
モジュール間の呼び出し関係、データの流れ、機能間の依存関係を整理し、システムの全体像を可視化します。図や一覧の形に整理すれば、「どこを変えるとどこに影響するか」という影響分析の土台になります。改修や刷新の前提として、特に価値の大きい成果物です。
可視化の形式も用途に応じて使い分けられます。システム全体を俯瞰する構成図、処理の流れを追うフローチャート、テーブルと機能の対応を示すCRUD図など、ソースコード解析の結果を図に起こすことで、コードを読めない業務部門やマネジメント層とも、同じ絵を見ながら議論できるようになります。「コードの中身」が「関係者の共通言語」に変わります。
設計書の自動生成・最新化
解析した内容をもとに、設計書を生成します。既存の設計書がある場合は、コードの実態と突き合わせて最新化し、ない場合はゼロから新規生成します。「設計書の自動作成」と聞くと精度を疑う方もいますが、コードという一次情報に当たるため、人の記憶を頼りに復元するより確かな根拠に基づきます。これにより、長年放置されたドキュメントの未整備を、現実的な工数で解消できます。
システム要約・ドキュメントの生成
システム全体の概要や、機能ごとの要約ドキュメントを生成し、新しくプロジェクトに入るメンバーの理解を助けます。属人化していた「このシステムに詳しい人」の頭の中を、誰でも参照できる形にする取り組みです。
コードへの質問応答
「この帳票はどの処理で出力されるか」「このテーブルを更新する処理は何か」といった具体的な疑問に、ソースコードを根拠として回答を得られます。調査のたびにコードに詳しい人を探して聞き回る、という非効率を解消できます。
AIソースコード解析・設計書自動生成の進め方
実務では、次のステップで進めるとスムーズです。
1. 対象と目的を決める:どのシステムを対象に・何のために解析するのか(影響分析か、設計書復元か、刷新準備か)を定める。目的によって、解析の深さと成果物が変わります。
2. 解析対象の素材を集める:ソースコード一式、残っている設計書、データ定義などを集約する。古い設計書も「当時の意図」を知る手がかりとして有用です。
3. AIで解析し、構造を可視化する:構造・依存関係を整理し、全体像を把握する。
4. 設計書・要約ドキュメントを生成する:目的に応じて、設計書の最新化・新規生成、要約ドキュメントの作成を行う。
5. 有識者レビューで検証する:生成された設計書を、業務・システムを知る担当者がレビューし、業務文脈を補う。AIはコードに書かれたことは読み解けますが、「なぜその業務ルールになったか」という背景は人が補完する必要があります。
ポイントは、ステップ5を省略しないことです。AI解析は読み解きの多くを担いますが、最終的な正しさの担保と業務文脈の付与は人の役割です。AIが下書きを作り、人が検証する分業によって、成果物の精度を保ったまま、調査にかかる時間を短縮できます。
→こうした解析から設計書生成までの一連の流れは、「LaKeel Blu」が得意とする領域です
ソースコード解析・設計書自動生成の活用シーン
AIによる解析・設計書生成が、実務のどんな場面で効くのかを具体的に見てみます。
改修・機能追加の影響分析
「この項目を変えたら、どの画面・帳票・バッチに影響するか」。改修のたびに発生するこの調査は、ブラックボックス化したシステムでは特に時間がかかります。依存関係を可視化し、AIに直接問い合わせられる状態を作っておけば、影響分析の調査時間を短縮でき、修正漏れによる障害も防ぎやすくなります。
刷新・モダナイゼーションの準備
既存システムの刷新では、現行仕様の棚卸しが出発点になります。AI解析で機能一覧・構造・依存関係を洗い出せば、何を残し・何を捨てるかの判断材料が揃い、根拠をもって刷新の要件定義を進められます。
保守の引き継ぎ・属人化の解消
「このシステムはあの人しか分からない」という状態は、退職・異動のたびに事業リスクとなりかねません。システム要約や設計書を整備し、コードへの質問応答ができる環境を作っておけば、後任者が前任者に聞かなくても自走でき、引き継ぎの負荷も大きく下がります。AIを活用することで、ベテランの頭の中にあった仕様が組織の資産に変わります。
ソースコード解析ツール・AIの選定観点
ソースコード解析を支援するツールには、従来型の静的解析ツールから最新のAIを活用したサービスまで幅広い選択肢があります。企業の既存システムを解析する目的においては、以下の観点で選定することで導入の失敗を防ぐことができます。
- 対象言語・環境・規模に対応できるか:COBOL、RPG、PL/SQLなどのレガシー言語や、AS/400(IBM i)・メインフレームといった実行環境、大規模なコードベースへの対応範囲はサービスごとに異なるため、自社の既存システムに合うかを個別に確認します。
- 必要な成果物を出力できるか:設計書・構造図・一覧など、自社が必要とする形式に対応しているかを確認します。既存の設計書テンプレートに合わせられると、その後の運用がスムーズになります。
- 質問応答・対話ができるか:解析結果を読むだけでなく、「この処理の実装意図は何か?」といった疑問をその場でツールに問い合わせられると、調査効率が大きく向上します。
- 継続利用できるか:一度きりの解析で終わらず、システム改修のたびに設計書を最新化し続けられる仕組みになっていると、設計書と実態が乖離することを防げます。
- セキュリティを確保できるか:ソースコードは企業にとって重要な資産です。処理場所や、外部に学習利用されないかを確認します。
無料で使えるリバースエンジニアリングツールも存在しますが 、企業のシステムを対象にする場合は、規模・レガシー言語への対応・厳格なセキュリティ要件を満たすため、業務利用を前提としたエンタープライズ向けサービスを選定するのが現実的です。
AI解析の注意点と限界
AIによるソースコード解析は極めて強力な手段ですが、決して万能ではありません。導入効果を高めるためには、以下の注意点を押さえておく必要があります。
- 業務背景までは分からない:コード上に記述されていない「なぜこの仕様にしたのか」という経緯や業務上の理由は、AIには判断できません。システムの全体像を正確に把握するには、有識者へのヒアリングによる補完が不可欠です。
- 生成結果の検証は必須:AIの出力には、もっともらしい誤り(ハルシネーション)が混入するリスクがあります。システムの根幹に関わる重要な設計書であるほど、最終的な内容の正確さは「人の目」によるレビューで担保する必要があります。
- 解析して終わりにしない:生成した設計書を更新し続ける運用フローを構築しなければ、再びドキュメントとコードの実態が乖離し、ブラックボックス化が再発します。継続的な保守サイクルを見据えた仕組みづくりが重要です。
つまり、AI解析は「人を不要にする」ものではなく、「人がやるべき判断に集中できるようにする」ものです。この前提に立って導入設計を行うことで、AIの真の価値を引き出すことができます。
LaKeel Bluの現行解析エージェント
こうしたAIによるソースコード解析・設計書生成を、要件定義などの上流工程と一体で提供しているのが、ラキールの製品「LaKeel Blu」です。現行解析エージェント(AIエージェント)が、既存システムのソースコードや設計書を解析し、構造・依存関係・処理の流れを体系的に整理し、実装の意図を読み解く手がかりまで示します。
具体的には、ソースコードから設計書を実態に合わせて最新化し、既存の設計書がない場合は新規生成も可能です。レガシーシステムの要約ドキュメントを生成して新規参入者の理解を助け、システムへの質問にはソースコードに基づいて回答します。さらに、可視化した現行仕様を土台に、要件定義を担うプロジェクトリードエージェントが「何を・なぜ刷新するか」を検討できるため、解析だけで終わることなく、刷新の要件定義から基本設計まで一気通貫で進められる点が特徴です。
よくある質問(FAQ)
QAIでソースコードを解析すると何が分かりますか?
Aモジュールや機能の構造、呼び出し・依存関係、データの流れに加え、処理の意味や実装意図の推論が得られます。「この処理が何をしているのか」を自然言語で確認できる点が、従来の解析ツールとの大きな違いです。
Q設計書の自動生成はどこまで正確ですか?
Aソースコードという一次情報を根拠にするため、人の記憶を頼りに復元するより確かです。ただし業務上の背景・経緯はコードに書かれていないため、有識者レビューで補完・検証することが前提になります。
Q設計書がまったく残っていなくても解析できますか?
Aできます。コードが残っていれば、構造の可視化や設計書の新規生成が可能です。残っている古い設計書があれば、当時の意図を知る手がかりとして併用します。
Q従来の静的解析ツールとAI解析の違いは何ですか?
A静的解析ツールは、コードを実行せずに構造やメトリクス(複雑度など)を解析・図示するのが中心で、結果の読み解きは人の仕事でした。AI解析は処理の意味や実装意図を推論して自然言語で説明し、質問にも答えられるため、読み解きの多くを肩代わりできます。
Qソースコード解析のやり方・手順を簡単に教えてください。
A①目的を決める→②コードや既存資料を集める→③AIで構造・依存関係を可視化→④設計書・要約ドキュメントを生成→⑤有識者がレビューして業務文脈を補う、の5ステップです。
⑤を省略しないことが精度の鍵になります。
Qソースコードを外部のAIに渡すのが不安です。
Aもっともな懸念です。コードの処理場所や学習への利用有無など、セキュリティ要件を満たすサービスを選定してください。業務利用を前提としたサービスでは、こうした要件への配慮が設計されています。
まとめ:設計書は“作って終わるもの”ではなく“コードから生成し続けるもの”へ
ドキュメント整備というと、「いつかまとまった時間を取って、人手で書き起こすもの」と捉えられてきました。しかし、その“いつか”は来ないまま設計書は古び、システムはブラックボックス化していきます。AIによるソースコード解析が変えるのは、この前提です。設計書は人が記憶を頼りに作るものではなく、コードという事実から生成し、改修のたびに最新化し続けるものです。そう捉え直すことで、設計書と実態のずれは構造的に解消へ向かいます。
まずは、自社で「設計書と実態が合っていない」「コードを読める人がいない」システムを一つ選び、AI解析で構造の可視化と設計書の生成を始めてみてください。影響分析や刷新検討の足掛かりとなり、調査のたびに詳しい人を探し回るという非効率も解消されます。
“人がコードを読み解く”から“AIが解析し、人が検証する”へ
とはいえ、解析・生成・更新のサイクルを自前で組み立てるのは簡単ではありません。本記事で触れた「LaKeel Blu」は、現行解析エージェントがソースコード解析から設計書の最新化・新規生成、レガシーシステムの要約ドキュメントの生成、コードに基づく質問応答までを担い、さらに要件定義を担うプロジェクトリードエージェントと連携してシステム刷新の上流まで一気通貫で支援します。コードに埋もれた仕様を組織の資産に変え、人は検証と意思決定に集中する分業を、仕組みとして実現することができます。
「設計書が実態と合っておらず、調査のたびに苦労している」「コードを読める担当者が退職してしまう」——そんな課題を抱える、情報システム部門・開発・保守運用のご担当者の皆さまに向け、AIによるソースコード解析と設計書自動生成で既存システムを可視化する「LaKeel Blu」の仕組みと活用シーンを、資料で詳しくご紹介しています。お困りの際や、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽に資料をダウンロードしてください。個別のご相談やお問い合わせも喜んで承ります。 
このコラムを書いたライター

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