ベンダーロックインとは?リスクと脱却方法について解説
多くの企業がDX推進に取り組んでいますが、システムを特定のベンダーに依存する「ベンダーロックイン」に陥っているために、思うようにDXを推進できていない企業も少なくありません。本記事では、ベンダーロックインの要因やリスクを解説したうえで、ベンダーロックインから脱却する方法をご紹介します。
- 目次
- お役立ち資料
- スマートに機能を拡張する
「aPaaS」とは
DX推進を阻む「ベンダーロックイン」
昨今、多くの業界でDXを推進する潮流が起きていますが、さまざまな理由で壁にぶつかっている企業があります。DX推進を阻む1つの要因として挙げられるのが「ベンダーロックイン」です。
以降では、ベンダーロックインとは何かについて解説します。
ベンダーロックインとは?
ベンダーロックインとは、企業のシステム(ソフトウェアやハードウェア)の導入において、特定のベンダー固有の仕様が採用されており、そのベンダーに依存している状態のことです。
この状態では、技術やコスト、時間などさまざまな制約により、既存のベンダーから他のベンダーへの切り替えや内製化をスムーズに行うことができず、DX推進を阻害する恐れがあります。
ベンダーロックインは、例えば、大企業や官公庁など大規模かつ独自のシステムを使用している機関・組織で多く起こっています。2022年2月8日に公正取引委員会が行った1,835機関への国や地方自治体を対象にした調査※でも、ベンダーロックインに関する問題が取り上げられています。
※出典:令和4年2月公正取引委員会「官公庁における情報システム調達に関する実態調査報告書」
ベンダーロックインが起きてしまう要因
ベンダーロックインの状態はDXを阻む要因となりますが、ベンダーに頼ること自体は最新の知見やノウハウを手軽に得られるため、一概に悪いということではありません。
しかし、多くの企業では、担当者がシステムに関する知見を持っていなかったり、システムの要件定義などの段階からベンダーに「丸投げ」状態で委託した結果、ベンダーに強く依存する状態(ベンダーロックイン)に陥るケースが多いようです。
ベンダーロックイン状態を放置するリスク
ベンダーロックインの状態を放置すると、以下のようなさまざまなリスクが生じます。
システムのブラックボックス化
システムをベンダー側に丸投げしている状態では、システムの仕様が特定の担当者に属人化する状態に陥るケースがあります。もし、その担当者が異動・退職した場合、ベンダー側で新たな担当者がアサインされますが、これが繰り返されるとドキュメントとシステムの状態に徐々に乖離が生じるリスクも高まります。
その結果、長期に渡り運用されたシステムや大規模なシステムであるほど、ベンダー側でもシステムの内部を理解している人間が不在になり、改修対応が困難になります。
システムの導入・構築・メンテナンスまでをすべてベンダーに丸投げしている状態であるため、全容が把握できない「ブラックボックス」状態に陥ってしまうのです。
ノウハウの蓄積が困難になる
本来であれば、自社の担当者がベンダーの知見を吸収することが理想です。しかし、システムに関わる業務すべてをベンダーに丸投げしているため、社内の担当者の育成やノウハウの蓄積が一切行われていない状況に陥るリスクが高くなります。
社内の人材が育たない結果、ベンダーへの依存度もますます高くなるという悪循環に陥ります。
開発・運用コストが高額になりやすい
ベンダーロックイン状態は、ベンダーにとっての競合相手がいないため、システムの開発・保守・運用コストが高く設定され、それを受け入れざるを得ないリスクも存在します。実際に他社ベンダーへ乗り換えようとすれば、システムの全容把握に費用を要求される場合もあります。
また、他のシステム開発会社との相見積もりができないため、既存のベンダーから提出される費用の妥当性が判断できないデメリットもあります。
サービス品質がベンダーに左右される
ベンダーロックイン状態にある企業は、サービス品質がベンダーの都合に左右される恐れがあります。
例えば、より良いシステムに改修・改善するため最新技術の追加を行いたいと要求しても、ベンダーが未経験である場合や彼らにとってメリットがないと判断された場合は、対応を断られるリスクがあります。
このような状態に陥っているために、昨今問題視されている「レガシー化されたシステム」を使い続ける以外に選択肢を持てない企業も多くあります。
DXを推進する企業において、ベンダーロックイン状態から脱却することにより、これらのリスクを解消し、自社の事業に対するシステムの柔軟性や経営における選択肢を確保することが非常に重要になります。
ベンダーロックインから脱却するための方法
以下ではベンダーロックインの状態から脱却するために、導入・検討すべき方法をご紹介します。
自社が抱えている課題や達成したい目標を明確化する
まずは、ベンダーロックインに陥った要因やデメリットに関して、正確に理解することが重要です。自社の課題やリスクを明確化したうえで、ベンダーロックインから脱却することで何を実現したいのか、内製化によりどのような価値を生み出すのかといったビジョンを明確化します。
ベンダーロックインからの脱却やDX化はあくまで手段であり、最終的に達成されるべき目標を具体的かつ明確にすることが必須です。
自律を支援してくれるベンダーを選定する
次に、自律を支援してくれるベンダー(協力者)を選定します。
先述したようにベンダーに頼ること自体は悪いことではありません。優れたベンダーの支援を受けることで、最新技術の知見の取得や、他社事例も参考にしたシステム開発のノウハウの蓄積、第三者視点からの改善の提案などが期待できます。
ベンダー選定の際には、内製化支援や、自律に向けた伴走ができ、対等なパートナーとして関係を構築できるかを確認することが重要です。
内製化を促進/支援するアプリケーション開発基盤の導入をする
ベンダーロックインの状態から脱却して内製化を行う場合、アプリケーション開発基盤の導入が重要になるケースがあります。アプリケーション開発基盤の導入により、専門知識が必要とされるアプリケーションの開発や運用の技術的なハードルを下げられるため、本来注力すべきビジネスロジックの開発の内製化を推進することができます。
アプリケーション開発基盤に関しては、以下の記事でご紹介しています。
- アプリケーション開発運用基盤とは?スピーディーな開発と効率的な運用を実現するソリューション
- クラウドサービスの一般化に伴いSaaSの利用が増えることで、社内に複数のシステムが乱立し、管理・運用は専門化・複雑化したと言われています。また、企業によっては独自のビジネスルールが存在するため、SaaSの基本…
顧客企業の内製化とDX推進を支援するアプリケーション開発基盤「LaKeel DX」
ラキールでは、ベンダーロックインから脱却し、システム開発の内製化を支援するコンサルティングサービスとアプリケーション開発・運用基盤である「LaKeel DX」を提供しています。
以下で、その内容をご紹介します。
ベンダーロックインから脱却し、内製化を支援するコンサルティングサービス
ラキールでは、お客様の事業状況や業務課題に合わせた支援を行っています。
ベンダーロックインからの脱却、今後ロックイン状態にならないための自走・内製化に向けた伴走サポート、またIT戦略や経営戦略の実現に向けたDX推進支援サービスをご提供いたします。
クラウドネイティブ型アプリケーション開発基盤
LaKeel DXは、クラウドネイティブ型の業務アプリケーションを開発・運用するためのデジタルビジネスプラットフォームです。
クラウドプラットフォームの機能と特徴を最大限に活用し、スケーラビリティ、柔軟性、信頼性を備えています。
開発基盤に加え、運用基盤、監視ツールを包含しているため、すぐに業務アプリケーションを開発し稼働させることが可能です。
機能を部品化してその組み合わせでシステムを構築する開発基盤
LaKeel DXは、ソフトウェアの機能を部品化して管理することができます。
ソフトウェア部品の入替・追加で常にシステムを最新化し、蓄積されたソフトウェア部品を組合せることで高速開発を実現します。さらに、多数のソフトウェア部品から構成されるシステムの保守・運用に伴う煩雑さを極限まで軽減することができます。以下では、これを実現する方法と利用技術をご紹介します。
マイクロサービス型aPaaS
これまでのシステムは、数年ごとに莫大な時間と労力を使ってリプレイスを行うことが一般的でしたが、これは技術的負債をため込む結果になり、ベンダーロックインの状態を解消できず、コストも膨大になります。
そこで重要となるのが、小さな独立した複数のサービス(機能)でシステムを構成できるマイクロフロントエンド・マイクロサービス・Web APIの技術です。
LaKeel DXは、アプリケーションの開発・運用を行う際に必要となるインフラ、ミドルウェアなどの環境一式を用意したプラットフォームである「aPaaS (Application Platform as a Service)」であり、マイクロフロントエンド並びにマイクロサービス技術を採用しています。
そのため、開発のスピード向上を可能にすると共に、部品単位での組み換えによりシステム全体の陳腐化・技術的負債化を防ぎながら、アプリケーションを常に最新状態に保つことができるサステナブルソフトウェアを提供します。
また、ローコード・ノーコード開発を採用しているため、専門的なIT知識がない人材でも開発可能であることも特徴です。
マイクロサービスで構築されたシステムであれば、独立した機能同士をWeb APIで連携させることができるため、個々の機能同士の依存関係が低く、機能ごとに最適なベンダーに発注することも可能になります。技術的負債を溜め込まず、技術的資産を自社に蓄積することが可能になるため、効率的なIT投資を実現します。
以下の記事ではマイクロサービスについて解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
- マイクロサービスとは?DX実現へ導入が進む理由とモノリシックアーキテクチャとの比較
- 近年、ソフトウェアのアーキテクチャとして「マイクロサービス」が注目されており、DX実現に向けて大手企業でも導入が進んでいます。マイクロサービスとは具体的にどのようなアーキテクチャであり、どういったメリットがあ…
これらの技術を活用したアプリケーション開発運用基盤「LaKeel DX」を導入することで、ベンダーロックインの状態から脱却し、システム開発の内製化を推進するこができます。
以下資料では、アプリケーション開発運用基盤として近年注目されている「aPaaS」のご紹介をしています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
- お役立ち資料
- スマートに機能を拡張する
「aPaaS」とは
このコラムを書いたライター
本サイトでは、企業のDX推進に役立つ様々な情報をお届けしています。