アプリケーション開発をスピーディーにする「アプリケーション開発運用基盤」とは?
クラウドサービスの一般化に伴いSaaSの利用が増えることで、社内に複数のシステムが乱立し、管理・運用は専門化・複雑化したと言われています。また、企業によっては独自のビジネスルールが存在するため、SaaSの基本機能だけで賄えないという課題もあります。そうしたIT課題を解決する方法として “アプリケーション開発運用基盤(aPaaS)の活用”に期待が高まっています。本記事では、アプリケーション開発運用基盤が必要な背景や開発体制をつくる上での障壁、開発運用基盤導入のメリットなどをご紹介します。
- 目次
アプリケーション開発運用基盤とは
アプリケーション開発運用基盤とは、業務で使われるアプリケーションを開発・稼働・運用させる際に必要となる土台のことです。
近年は、様々な開発元のソフトウェアやハードウェアを組み合わせる自由度の高いシステム構築が増えています。それによりハードウェア、ミドルウェアの選択の幅が広がった一方で、システムのアーキテクチャは複雑になり、アプリケーションの開発・運用には専門知識が必要になってきています。
そこで、自由度を高く保ったまま、アプリケーション開発の複雑さや保守・運用における作業負荷を軽減することができる、アプリケーションの開発運用基盤(aPaaS)が注目されています。
以下で、アプリケーション開発運用基盤(aPaaS)が必要とされる背景や、それがどういったものであるのかを詳細にご説明します。
自社内での業務アプリケーション開発運用基盤が必要となっている背景
急速に普及が進むSaaSは、手軽にサービスを導入でき、保守・運用をベンダーに任せられる利点から、多くの企業で採用されています。一般的なSaaSは、単独で使用できるだけでなく、APIが提供されており、これを活用することでより詳細な機能やデータを利用することも可能になっています。
しかし、導入するSaaSの数が増えすぎると、システムが乱立してしまい、アカウントの管理が煩雑になったり、連携が的確に行えず、結果、運用の難易度が高くなったり、機能の重複が発生するといった弊害も発生します。
また、SaaSは多くの場合、カスタマイズ性が低く、導入企業独自のビジネスルールに合わせたシステムを構築ができないといった欠点があります。そのため、有用なビジネスアイデアを柔軟にシステムに取り込むことができないといった課題もありました。
こうした課題を踏まえ、新たなSaaSを導入しつつ、その不足を補うための新システムを開発するケースなども起こりえます。
しかし、自社で業務アプリケーションを構築し、これを安定運用する体制を整えるには、多くの障壁が存在します。
業務アプリケーションの自社開発体制をつくる上での障壁
業務アプリケーションを自社内で開発することができれば、自らの業務要件に応じて、自由に業務アプリケーションを構築することが可能になります。一方で、システムアーキテクチャの検討に始まり、開発体制並びに運用体制を整えるためには、以下のような壁も立ちはだかります。
従来の開発手法ではビジネス変化に対応しづらい
業務アプリケーションを自社開発する際には、システム企画の作成に始まり、プロジェクトの進捗・課題管理、プログラミング・テストなどの開発作業、そしてこれをリリースし、安定した状態で運用するまでに、非常に多くのプロセスと時間を要します。加えて、開発期間中は、社内の技術者はこのプロジェクトに時間を費やすことになるため、既存の業務とのバランスを取る必要も生じ、プロジェクトマネジメント、業務アプリケーションを必要とする業務担当者との仕様調整などの対応も必要になります。
このような従来の開発手法や体制では、昨今のビジネス環境の変化のスピードを踏まえたスケジュール感ではアプリケーションがリリースできないリスクも高く、最悪の場合、構築したものが業務ニーズの変更に伴い陳腐化してしまうケースも見受けられます。
今の時代にあったアプリケーション開発は、変化のめまぐるしいビジネスのスピードに対応するために、業務アプリケーションを必要とする業務担当者が直接、必要なシステムを組める環境や状態が理想的と言えます。
IT人材の確保が難しい
一から自社開発をする場合、例えば、インフラ、ミドルウェア、ソフトウェア開発・保守、運用など各分野におけるスキルを保有したIT人材を確保しなければなりません。さらに、自社の業務に最適なITシステムを構築する場合、自社の業務に精通した人材の確保が必要です。しかし、IT技術と業務に精通するような人材はほぼ皆無であり、それぞれの分野に精通している人材というだけでも引く手あまたで、理想的な環境を構築するために必要な人材を確保する難易度は年々高まっています。
一方で、長期育成することを念頭に経験の浅い人材を確保した場合、社内でのスキル教育が必要です。しかし、多くの企業では適切なIT技術スキル習得のための教育体制が整っていないのが実情です。
このようなビジネス変化への対応やIT人材確保における大きな壁を乗り越えるためには、「aPaaS」と呼ばれるアプリケーション開発運用基盤の導入が効果的です。以下では、aPaaSを導入することのメリットを詳しくご紹介します。
アプリケーション開発運用基盤としてaPaaSを導入することのメリット
前述した課題を解決するアプリケーション開発運用基盤として近年注目されているのがaPaaS ( Application Platform as a Service )です。aPaaSはアプリケーションの開発・運用を行う際に必要となるインフラ、ミドルウェアなどの環境一式を用意したプラットフォームです。
aPaaSの特徴、導入時の注意点などについてはこちらの記事で解説しています。
- ローコード開発・ノーコード開発・aPaaS・hpaPaaS とは?それぞれの特徴・違い・注意点などを解説
- IT人材の不足や急速に変化していくビジネス環境へ対応していくため、高速開発ツールの活用に注目が集まっています。本記事では、高速開発ツールとして注目される「ローコード開発・ノーコード開発・ aPaaS ・ hp…
以下では、アプリケーション開発運用基盤としてaPaaSを導入することのメリットを2つ紹介します。
開発スピードと生産性の向上
aPaaSは、開発環境、CI/CD環境、運⽤監視等、アプリケーションの開発と運用に必要な機能を総合的に提供するため、利用者はアプリケーションの開発のみに注力することができます。その結果、開発スピードの向上を実現することができます。
また、最近のaPaaSでは、ローコード開発を行うことができる機能も提供されています。ローコード開発とは「超高速開発」とも呼ばれ、ソースコードを記述する部分をできるだけ減らした開発手法です。
ローコード開発については、以下記事で解説しています。あわせてぜひご覧ください。
- 注目が集まる開発手法「ローコード開発(超高速開発)」とは?
- アプリケーションやシステムの開発に時間がかかっており、もっと短縮化・効率化したいと考えている企業は少なくないでしょう。この記事では、そのような企業におすすめの開発手法として「ローコード開発(超高速開発)」を紹…
ローコード開発であれば、従来の開発手法と比較して圧倒的に短い期間でのアプリケーション開発が可能になります。さらに、プログラミングスキルがないユーザー部門の担当者がアプリケーション開発に参加できるようになることから、必要な人が必要な機能の開発を実施することができるようになります。
aPaaSとローコード開発により、ビジネスニーズにマッチしたアプリケーション機能の開発を実現する一方で、IT部門は現状を維持する状態から、企業の経営戦略に関わる会社の将来に向けての質の高い業務ができるようになり、経営-業務-ITが一体となった強い企業体質に生まれ変わる事も可能です。
保守・運用の効率化
aPaaSはアプリケーションの開発時に効果があるだけでなく、リリースされたアプリケーションの安定運用や既存機能の拡張や変更といった保守作業にかかる工数も大きく低減することができます。これにより、運用・保守を担当する人材を社内で確保する必要がなくなり、人材不足への対応が可能になります。
上記のようなメリットから、aPaaSは、アプリケーションの構築から運用・保守まで含めた全工程において有効な手段として注目が集まっています。
以下では、LaKeelが提供するアプリケーション開発運用基盤「LaKeel DX」をご紹介します。
aPaaS×ローコード開発を実現するアプリケーション開発運用基盤「LaKeel DX」
「LaKeel DX」 は、aPaaSに属するアプリケーション開発・運用基盤製品ですが、従来のaPaaS製品に比べ、以下の点で差別化を図っています。
LaKeel DXで実現できる3つの解決
LaKeel DXではここまで紹介した課題を3つの要素で解決します。
それぞれを以下で紹介します。
・部品開発と組み合わせによる高速開発・高可用性
・IT知識がない人でも開発に参加できるローコード開発
・アプリケーション開発後の保守運用負荷軽減
・部品開発と組み合わせよる高速開発・高可用性
LaKeel DXはアプリケーションを部品単位で組み合わせる「マイクロサービス技術」を採用しています。これにより、アプリケーション開発のスピード向上を可能にし、ビジネス環境の変化への臨機応変な対応を実現します。また、システムの陳腐化・技術的負債化を防ぎアプリケーションを常に最新状態に保つことができるようになります。
・IT知識がない人でも開発に参加できるローコード開発
LaKeel DXはローコードでの開発を採用しているため、専門的なIT知識がない人材によるアプリケーション開発を可能にします。それにより、アプリケーションを必要とする業務の担当者が直接、必要なシステムを組める環境を作りやすくなります。また、獲得難易度の高い、高度なIT知識を保有した人材を確保する必要性を下げることができるため、IT人材不足の問題解消にもつながります。
・アプリケーション開発後の保守運用負荷の軽減
LaKeel DXはアプリケーション運用に必要なインフラ・ミドルウェアをプラットフォームとして提供するため、開発後の保守運用負荷も軽減します。また、モニタリングシステムによる運用監視を採用しているため、障害の発見や復旧処理の自動化も実現します。これにより、アプリケーションの運用中のインシデント対応に係る工数も削減することができます。
これらの特長から、LaKeel DXはアプリケーション開発・運用を自社で行う場合の障壁を解消することが可能です。
アプリケーションに必要な機能のみを部品単位で開発し、組み合わせるため、高速開発を可能にします。
LaKeel DXはコア機能「LaKeel Engine」で2つの特許を取得しています。
LaKeel DXはその特長から、DX推進を検討している企業に幅広く採用されています。トレードワルツ社の貿易DXの取り組みや三菱商事社の産業DXプラットフォーム構築における導入など、実績・事例については以下のページで詳しく紹介しております。ご興味のある方はぜひご覧ください。
さらに、LaKeel Data Insightと組み合わせて使うことで、システムに蓄積されるデータから必要なものを取り出してビジネスへ活用することができます。
LaKeel DX、LaKeel DIの詳細についてはこちらからご覧ください。
このコラムを書いたライター
本サイトでは、企業のDX推進に役立つ様々な情報をお届けしています。