【電子帳簿保存法・インボイス制度】法令改正に向けたシステムの形とは
2022年に改正電子帳簿保存法が施行され、帳簿書類を電子データで保存する際の要件緩和などが行われました。また、2023年10月にはインボイス制度が始まるため、企業では、電帳法とインボイスを一体的に対応する必要があります。本記事では、これら法令・制度改正に合わせて企業が行うべき対応方針やシステム構築のポイントを解説します。
- 目次
- お役立ち資料
- 電子帳簿保存法の概要と対応する
ためのシステム構築のポイント
2022年電子帳簿保存法改正の4つのポイント
2021年の税制改正により電子帳簿保存法が改正され、2022年1月から施行されています。同法は国税関係帳簿書類について、一定の要件のもと電子データとして保存することを認めた法律です。
保存方法としては、会計ソフトで作成した国税関係帳簿を電子データで保存する「電子帳簿等保存」、紙の領収書・請求書等をスキャンして保存する「スキャナ保存」、データで受領した領収書・請求書などをデータで保存する「電子取引」がありますが、今回の改正ではこれらの保存の要件が大きく見直されました。
特に重要なポイントとして以下4つがあります。
事前承認制度の廃止
従来は、電子帳簿等の保存やスキャナ保存をする場合、事前に税務署長の承認が必要でしたが、事業者の事務負担を軽減するため、改正後は事前承認が不要となりました。
タイムスタンプ要件の緩和
スキャナ保存におけるタイムスタンプの付与期間が3日以内から最長2ヶ月と7営業日以内に延長されました。また、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備などを指す「適正事務処理要件」が廃止されました。
検索要件の緩和
検索要件の記録項目について、これまでは「取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目」と定められていましたが、改正により「取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先」に限定されることになりました。
また、基準期間※の売上高が 5,000 万円以下である小規模な事業者については、検索要件の全てが不要となっています(税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合)。
※個人事業者については電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間、法人については電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度のこと
電子取引のデータ保存の義務化
電子取引した書類を出力・印刷して、紙ベースで保存することが認められなくなり、データで保存することが義務化されました。ただし、保存方法の急な変更に対応できない事業者がいることも踏まえ、やむを得ない事情がある場合には書面での保存を認める猶予措置が設けられています。
以上のような要件の見直しがされた、電子帳簿保存法の改正は、2023年10月から始まるインボイス制度とも密接に関係しています。
2023年10月開始!インボイス制度とは
インボイス制度とは、請求書等の発行・保存に関する制度のことを指します。消費税額や適用税率を正確に把握することを目的に、2023年10月1日から導入予定です。
インボイスとは「適格請求書」のことであり、インボイス制度の導入によって、売り手側は買い手側の求めに応じて、インボイスを発行・交付することが義務付けられます。インボイスには現行の「区分記載請求書」に明記している内容に加え、「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載も必要となり、このインボイスに対応した請求書を発行するためには、適格請求書発行事業者の登録が必須となります。
なお、インボイス制度が導入された背景としては、2019年10月に消費税が10%に増税され、軽減税率も導入されたことで仕入の税額を把握するのが煩雑になったことが挙げられます。
インボイス制度を定めた消費税法では、電子取引した書類を紙で保存することが認められているものの、電帳法の改正内容を踏まえると、電子データとして保存しておく必要があるため、電帳法とインボイス制度は一体的に対応すべきです。
以下では、改正電子帳簿保存法とインボイス制度に対応するための3つのステップをご紹介します。
電子帳簿保存法改正・インボイス制度に向けて行うべきこと3点
電子帳簿保存法およびインボイス制度に適切に対応するために、企業は以下3つの対応を並行して行う必要があります。
電子化が必要な書類の整理
法改正に伴い、電子取引(電子メールでの受領、ネット上でのダウンロード、クレジットの利用明細データなど)による書類の紙保存が原則禁止となったため、まずは社内のどの書類が電子データでの保存の対象となるのか把握することが重要です。
ただし、前述のように企業側の対応の負担を考慮して猶予期間が設けられており、今後も税制改正の内容を注視しておく必要があります。
社内ルールの整備
電子保存が義務化されることによって、経理部門への支払申請や経費精算にかかわる業務フローなどが変化することが想定されます。社内の混乱を避け、新たな業務フローを浸透させるためにも社内ルールの見直しや整備を進め、社員に周知する必要があります。
使用するシステムの選定
帳簿書類を電子データとして保存、管理する場合には、電子帳簿保存法の要件を満たす会計系システムを利用することで、効率的でミスのない業務を実現できます。
JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の認証を受けたシステムであれば電子帳簿保存法の要件を満たしているので、選定の際の参考になります。
電子帳簿保存法改正・インボイス制度に向けたシステム構築のポイント
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を行うにあたり、要件を満たす新しいシステムをその都度、導入・利用していくだけではさまざまな問題が発生してしまいます。
そこで以下では、今後の法令改正に向けて構築するべきシステムのポイントを2つご紹介します。
実際の業務との連携が取れているか
会計に関わるさまざまな業務に対して、個別に対策を検討する場合は、単機能のSaaSを導入することで対応が可能です。
しかし、実際の業務はそれぞれが一連のフローでつながり影響し合っているため、導入したSaaSが従来の業務と上手く連携ができず、生産性の低下を招く可能性があります。具体的には、業務の分断や、転記・二重入力の手間の増加、確認工数の増加などが考えられます。
したがって、それぞれの業務に個別で対応するのではなく、全体の業務フローやオペレーションを意識したうえで、必要な機能を網羅したシステム構築が重要です。1つのシステム上で対応ができれば、情報やオペレーションの管理が容易になり、業務の分断が起こらず、社内の連携もスムーズに行うことができます。
柔軟な仕様変更に対応可能か
多くの企業では、電子帳簿保存法改正といった法令改正があった場合、経理担当が情報システム部門に仕様変更を適宜依頼して対応を行っています。
この対応は法令改正に向けた新しい要件を詰めたり、仕様を決めたりするため、情報システム部門にとって大きな負担であり、改正の度にシステム改修の依頼を行っていると、工数のムダやコミュニケーションコストが膨らみ続けてしまいます。
また、経費精算等を含めた広範な会計系業務を支えるシステム群の仕様変更やリプレイスは、保存データの移行や承認・業務フローの見直し、操作方法の習得など、影響範囲が大きく、その都度対応を行っている場合、業務全体に支障が生じかねません。
このようなことから、2023年10月開始のインボイス制度も見据え、想定される仕様変更に柔軟に対応できるシステムの重要性が高まっています。
以上のポイントをまとめると、今後の法令改正に向けて構築するべきシステムは、個別最適ではなく全体最適を行えることが重要になります。
電帳法・インボイス制度に対応できるソリューション「LaKeel DX」
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応において、効率化を意識しながらシステム構築を行え、前述のポイントを実現する最適なソリューションとして『LaKeel DX』があります。
LaKeel DX は、業務アプリケーションの部分のみを利用者が開発・運用するaPaaS型のデジタル・ビジネス・プラットフォームです。マイクロサービス技術を用いており、機能単位で設計・開発した部品の組み合わせができるため、柔軟な仕様変更が可能です。そのため、電子帳簿保存法改正に向けたシステム構築を、最小限の影響範囲を修正することで対応できます。
LaKeel DXは、連携ロジックを利用することで、OCR、AI、SFA、RPA、電子決算システムなどさまざまなシステムとの連携が容易です。既に、お客様がご契約しているシステムがある場合は事前にご相談いただければ対応が可能です。
また、電帳法やインボイス制度の対応だけでなく、販売管理や受発注管理を行うための基幹システムを自社開発する場合にもLaKeel DX上で対応が可能です。将来的には、開発の内製化を見据えた、システム開発・運用基盤として活用していくことができます。
電子帳簿保存法の概要やシステム構築のポイントなどについては以下資料で詳しく解説していますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。
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- 電子帳簿保存法の概要と対応する
ためのシステム構築のポイント
このコラムを書いたライター
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