レガシーマイグレーションとは?目的・メリット・進め方をまとめて解説

2025年の崖を乗り越えるため、社会全体でDX推進が求められています。特に、老朽化・複雑化したレガシーシステムの刷新が喫緊の課題となっており、その方法として「レガシーマイグレーション」が注目されています。本記事では、レガシーマイグレーションの概要や求められる背景、メリット、進め方などについて幅広く解説します。

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レガシーマイグレーション戦略とは
レガシーマイグレーションとは?2025年の崖との関係性
基幹系システムを担ってきた人材の退職や、レガシーシステムの老朽化・ブラックボックス化が深刻になる「2025年の崖」が差し迫っています。
この問題を乗り越えるために、社会全体でDX推進が求められており、1つの方法としてレガシーマイグレーションがあります。まずは、レガシーマイグレーションの意味や目的についてご紹介します。
レガシーマイグレーションの意味
レガシーマイグレーションとは、レガシーシステム化した企業の基幹系システムを、新しい技術を取り入れたシステムにマイグレーション(移行・刷新)することを指します。なお、レガシーシステムとは、システムを構成している技術や仕組みが古く、度重なる更新や修正により複雑化したことで、担当者すらも全容が把握できないブラックボックス化しているシステムのことです。
マイグレーションと似た概念にモダナイゼーションがあります。レガシーモダナイゼーションについては、以下の記事で解説しています。

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レガシーマイグレーションの目的
レガシーマイグレーションの目的は、「2025年の崖」を越えてDXを実現することです。
2018年9月に経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を克服するためには、レガシー化した既存システムの刷新が必要です。
「2025年」の崖を越える際のポイントについては、以下記事でも紹介しています。

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また、レガシーマイグレーションにより、以下のような状態から抜け出し、本格的なDXに取り組む体制を整えることができます。
・2025年にかけて、システムの老朽化や既存の技術者の高齢化・退職に伴い、メンテナンスできる人がいなくなる。
・長期に渡って延々とシステムが運用・拡張されてきているため複雑化しており、全体像を把握できていない。
・ドキュメントも最新化されておらず、プログラムとの乖離があるため、結果的に「パンドラの箱」状態になっている。
・現在の業務が特に支障なく回っている(現場レベルでは満足している)為、危機感が少ない
なお、現在の業務が特に支障なく回っており、レガシーシステムの脱却といった変革の危機感を感じていない企業は危険な状態です。危機感が高まった頃には、変革に必要な体力をすでに失っている可能性があり、大きな損失が発生してしまうでしょう。
このようなリスクを回避できるレガシーシステムの脱却ですが、レガシーマイグレーションすれば達成できるとは限りません。以下記事では、レガシーシステム脱却を妨げる要因や脱却方法について紹介しています。
「2025年の崖」克服に向けたレガシーマイグレーションの立ち位置
「2025年の崖」を克服するには、レガシーシステムから脱却したうえで、構築したビジネスロジックを誰でもわかるように見える化し、誰でも長期間運用ができる状態にすることが重要となります。大きな課題であるレガシーシステムからの脱却に向けて、まずはレガシーマイグレーションから着手することが有効です。
「2025年の崖」を克服した先で実現したいこととしては、デジタル技術を自由に活用し、社内の業務改善や、新たなビジネスモデルの創出などが挙げられます。そのためには、前段階のレガシーマイグレーション時点から、活用の全体像を想定・設計し、取り組んでいくことが必要となります。
レガシーマイグレーションの完了はシステム刷新とデータ分析基盤がセット
前章でご紹介したようにレガシーマイグレーションは、レガシーシステムから新しいシステムへの移行という位置づけです。しかし、それだけではビッグデータ活用の基盤が完成しているとは言えず、新システムを実運用・定着させたとしても競争力を高められません。
したがって、レガシーマイグレーションの完了は、システム刷新とセットで、自社が持つデータを有効に活用できるデータ分析基盤も構築する必要があります。
データ基盤構築の詳細については、以下の記事で解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

- データ分析基盤とは?構築するうえで知っておきたい4つのポイント
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レガシーマイグレーションの目的やゴールがわかったところで、次章ではレガシーマイグレーションを行うメリットについてご紹介します。
レガシーマイグレーションを行う4つのメリット
レガシーマイグレーションを行うことには多くのメリットがあります。
1つ目は変化の激しいビジネス環境に柔軟対応できる点です。複雑化・老朽化したレガシーシステムでは対応可能な人員が限られていたり、仕様が不明であったりするケースが多く、ビジネス環境の変化に対応できません。レガシーシステムから新たなシステムに移行することで、デジタル技術の採用や、システムの修正・変更追加が積極的に行えるオープンでスタンダードな環境となり、ビジネス変化への対応が可能な拡張性や柔軟性を獲得できます。
2つ目は運用・保守コストの削減です。レガシーシステムでは、使用者が減少傾向にある言語でプログラムが書かれている場合や、サポートが終了しているシステムを利用していることもあります。こうした場合、自社で運用・保守を行いますが、レガシーシステムは修正が困難な硬直化したシステムであることが多くメンテナンス費用が膨らみます。
そのため、レガシーマイグレーションを実施することでオープンなシステムに移行されれば、運用にかかるコストを削減可能です。
3つ目は、資産の有効活用・業務効率化です。レガシーマイグレーションはすべてのシステムを構築するのではなく、システムの「移行」に主眼が置かれています。そのため、これまで蓄積してきたデータやアプリケーションなどの資産を引き続き活用できます。新システムの仕様によってはアプリケーションを引き継げないケースもありますが、その場合も既存のシステムでは活用できなかった最新技術を取り入れることができるため、業務効率化が実現可能です。
4つ目は、情報セキュリティの強化です。旧来型のシステムでは最新の脅威に対応できない場合が多く、情報資産の流出などセキュリティインシデントが発生しやすい課題があります。レガシーマイグレーションによって最新バージョンのシステムに切り替えることで、セキュリティリスクを最小化できます。
レガシーマイグレーションを進める際のデメリット
一方で、レガシーマイグレーションには以下のようなデメリットや注意点も存在します。
1つ目は高度なIT人材の確保が必要である点です。レガシーシステムの移行には、旧システムの構造を理解しつつ、新システムの設計や開発を行える専門的なスキルが求められます。しかし、IT人材不足が深刻化する中で、適切な人材を確保することは容易ではなく、プロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性があります。
2つ目は移行に伴うコストや工数の増大です。レガシーシステムの規模が大きいほど、移行にかかる時間や費用も増加します。特に、長年運用されてきたシステムほど、複雑な処理が組み込まれており、その解析や移行作業に膨大な工数を要することがあります。想定外のコストが発生するケースもあるため、事前のコスト試算が重要です。
3つ目は業務への影響リスクです。システム移行の過程で、一時的に業務が停止する可能性があります。また、新システムへの切り替え後に不具合が発生すると、業務の混乱を招くリスクがあります。特に、業務プロセスがシステムに強く依存している場合、移行の影響を最小限に抑えるための対策が不可欠です。
4つ目はデータ移行の困難さです。レガシーシステムと新システムでデータ形式が異なる場合、データの整理や変換作業が必要になります。また、長期間にわたって蓄積されたデータには重複や不要な情報が含まれていることも多く、適切に整理しながら移行しなければなりません。
以下記事では、レガシーシステム脱却における「データ移行」の課題について紹介しています。あわせてご覧ください。
レガシーシステム脱却における、超えるべきハードル「データ移行」課題・プロセス・方法をまとめて解説
このように、レガシーマイグレーションには多くのメリットがある一方で、慎重な計画と適切な対応が求められる課題も存在します。移行を成功させるためには、事前の準備を十分に行い、リスクを最小限に抑える取り組みが重要です。
次章では、レガシーマイグレーションを実施する際に有効な手法について解説します。
レガシーマイグレーションの3つの手法
レガシーマイグレーションには、主に以下3つの手法があります。
1つ目はリホストです。
システムのビジネスロジックや使用しているプログラミング言語は変更せずに、システムのプラットフォームのみ変更する手法です。同じ言語のまま変更するため、導入期間を短縮でき、移行コストを抑えながら進められます。
一方で、既存のシステム自体を変更するわけではないため、現在利用しているレガシーシステムに問題がある場合、それを解消しないまま受け継いでしまうデメリットがあります。そのため、現行システムに比較的問題が少なく、かつコストや導入期間を十分に確保できない場合に選択肢となる手法です。
2つ目はリライトです。
システムのビジネスロジックを変更しない点はリホストと同様であり、使用しているプログラミング言語とシステムのプラットフォームを変更する手法です。使用する言語を変更するため、リホストと比べ導入期間が長くかかりますが、プログラムの非互換性を解消でき、新規OSの活用や情報セキュリティの強化、システムの効率化など、新技術の恩恵を受けることができます。
ただし、リホストと同様に、レガシーシステムのロジックが継続されてしまうため、ブラックボックス状態を解消しきれず、保守性は低いままというデメリットがあります。比較的短期間での導入を目指しつつ、既存の言語では新技術の恩恵を受けられない場合に選択されうる手法です。
3つ目はリビルドです。
レガシーシステムの設計・プログラム・基盤を廃棄し、全面的に再構築する手法を指します。リライト・リホストに比べコストや導入期間がかかるものの、ビジネスロジックから全て再設計するため、レガシーシステムの問題をすべて解消できる点が大きなメリットです。レガシーシステムに蓄積されたプログラム上の劣化に完全には対処できないという、リホスト・リライトのデメリットを解消する手法であり、DX推進に向けた拡張性や柔軟性のあるシステムを実現するうえで、適切な進め方だと言えます。
上記のように、レガシーシステムからの完全脱却を行うためには、ブラックボックス状態を解消しビジネスロジックの再設計から構築を行うことが重要です。
レガシーマイグレーションを進める手順
レガシーマイグレーションを成功に導くためには、計画的で戦略的な進行が不可欠です。以下のステップに沿って進めることで、システムの更新がスムーズに行えます。
1.専門人材の確保
レガシーマイグレーションを推進するためには、既存システムの深い理解と、新しい技術への対応力を持つ人材が必要です。こうした人材が、システム移行やデータの正確な移行、機能の最適化を担います。適切なスキルを持つ人がいなければ、データの不整合や品質低下を招く恐れがあります。
2.詳細な計画の立案
対象となるシステムは企業の基幹システムであることが多く、移行中のシステム停止期間を最小限に抑える必要があります。システム移行のスケジュールやデータ移行の方法を慎重に計画し、ユーザー部門と連携して移行作業中の混乱を避ける準備を整えます。
3.システムの再評価と最適化
レガシーマイグレーションは、既存システムの問題を改善する絶好のタイミングです。システムの非効率な部分や、業務上の課題を洗い出し、移行とともに改善を加えることで、より利便性の高いシステムに進化させます。単なる移行にとどまらず、業務の効率化や機能向上を目指します。
4.移行手法の選定
移行プロジェクトの目的を明確にした上で、最適な手法を選ぶことが重要です。コスト削減を最優先するのか、安全性を重視するのか、あるいはシステムを全面的に刷新したいのかに応じて、「リホスト」「リライト」「リビルド」の中から最も効果的な方法を選定します。目的に適した手法を選ぶことで、移行の成功が確実になります。
これまでご説明した通り、レガシーマイグレーションには、システムの移行に伴ういくつかの課題やデメリットが存在します。例えば、IT人材の確保が必要であることや移行プロセスが複雑で時間がかかること、そしてそれに伴うコストの増加などが挙げられます。さらに、技術的負債が解消される一方で、新たなシステムの導入に対するスムーズな移行が難しく、業務の停滞を招くこともあります。
これらのデメリットを解消し、レガシーマイグレーションを成功に導くためには、適切なソリューションが不可欠です。ラキールが提供する2つのソリューションは、これらの課題に対処し、効率的かつ柔軟に移行を進めるための強力な手段を提供します。
レガシーマイグレーションを実現するラキールの2つのソリューション
以降では、レガシーマイグレーション実現に向けたラキールのソリューションを2つご紹介します。
LaKeel DX
LaKeel DXとは、DXを実現するデジタル・ビジネス・プラットフォームです。マイクロサービス技術を用いた、業務アプリケーションの部分のみを利用者が開発・運用するaPaaSであり、アプリケーション開発の敏捷性が向上します。レガシーシステムの技術的負債の解消・人手不足対応が可能であり、マイクロサービスの再利用により別のDXプロジェクトへもスピーディに展開できます。
最少人数でアプリケーションの開発のみに注力できることから、レガシーマイグレーションに多くの時間とコストを要するというリビルドの難点を解消できます。また、既存システムをAPI連携で動くマイクロサービスに段階的に移行することもできるため、柔軟な選択肢を取りながらレガシーマイグレーションが可能です。
上記のような自社の要件にあったシステムを導入するために事前注意すべき点については以下にも詳しく記載しております。

- LaKeel DX
- LaKeel DXは、企業のDXを成功へ導くクラウド型アプリケーション開発・運用基盤です。 LaKeel DXは、変化の激しい時代において、大規模な組織・大企業が直面しているさまざまなIT課題を解決します。
LaKeel Date Insight
LaKeel Date Insightは、DXの推進を支える統合データ基盤です。
データレイク・データウェアハウス・データマートの3層のデータ管理構造により、さまざまなデータソースを収集・蓄積できるため、レガシーマイグレーション実現に向けたデータを有効活用できるデータ分析基盤構築が可能です。また、GUI操作によりデータを誰でも簡単に加工でき、わかりやすいデータ操作とあらかじめ用意されたメニューにより多彩な分析ができるため、ビッグデータ活用に大きく貢献します。
これらの特徴により、レガシーマイグレーションで必要となるレガシーシステムのデータ等の可視化、ならびに不要あるいは追加すべき機能等の洗い出し作業のサポートが可能です。

- LaKeel Data Insight
- LaKeel Data Insightは、企業内外に点在する大量のデータを継続的に収集・集約し、業務担当者が様々なデータを活用した多角的な分析を行い、ビジネスに有益に活かす活動を支援するシステムです。
ラキールではこのようなソリューションを提供しながら、お客様のレガシーマイグレーションの実現に向けた支援ができます。レガシーマイグレーションの実現・レガシーシステムの脱却をご検討の方は、ぜひお問い合わせください。
以下の資料では、今後企業が取るべき理想的なレガシーマイグレーション戦略とその実現方法をご紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

- お役立ち資料
- 失敗から学ぶ!今、企業が取るべき
レガシーマイグレーション戦略とは

このコラムを書いたライター

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